プレストレスの与え方には、プレテンション方式とポストテンション方式の2つがあります。
(1)プレテンション方式
プレテンション方式とは、設備のあるPC工場でのみ製作が可能なもので、PC鋼材をあらかじめ所定の力・位置に緊張しておき、これにコンクリートを打込み、硬化した後に緊張力を解放してプレストレスを与える方式です。
したがって緊張力は鋼材とコンクリートの付着力で保持され、PC定着具(後ほど記載のポストテンション方式をご参照ください)と呼ばれるものは一切使いません。つまり、プレテンション方式は設備の関係で製作場所が限定されることから、部材は運搬上の制約を受け、比較的小型で大量に製造されるプレキャスト部材と呼ばれるものに適用されるケースが多いです。



(2)ポストテンション方式
ポストテンション方式とは、コンクリート部材が硬化した後に、その内部に設けられたダクト(シース と呼ばれます)に配置されたPC鋼材を緊張するもので、緊張力の保持はPC定着具を使って行われます。
したがってポストテンション方式はプレキャスト部材のみならず、工事現場で打設する構造物にも容易に適用でき、その上緊張力の大きさも幅広く選定できる特徴を持っています。



PC(ピーシーと読んでください)と言えば、パソコン世代に育った皆さんはすぐに、パーソナルコンピュータの略称かなと思われるかもしれませんが、土木や建築の世界では“プレストレストコンクリート”のことを言います。プレストレストコンクリートを一言で定義してみると、“緊張材によってプレストレスを与えられた(Prestressed)コンクリート(Concrete)”ということで、プレ(Pre)は“あらかじめ”、ストレス(Stress)は“負荷”という語源です。
コンクリートは古くから構造材料として使用されていて、圧縮する力には強いが引っ張る力には弱いという特性があります。そこで、コンクリートのその弱点をどう克服することができるか、といろいろ考えられてきました。

そのひとつの方法として、コンクリートの引っ張り部分を他の材料に置き換えることが考えられ、引張力に強い鉄筋で補強することを思いつきました。これが鉄筋コンクリートです。したがって、鉄筋コンクリートの圧縮力はコンクリートで、引張力は鉄筋で受け持つような構造になっています。
当初、コンクリートの中の鉄筋が時間が経つと錆びるのではないかという心配がありました。しかしある時期に、鉄筋コンクリート板を造り、水中や空気中に放置し、何年かして鉄筋を調べてみると、少しもサビが出ていなかったことを確かめました。それを機に、鉄筋コンクリート工法の価値が高まったのです。しかし、この工法ではコンクリートの多少のひびわれは避けられませんでした。


そこで考えられたのが、あらかじめコンクリートに圧縮する力(プレストレス)を与えることによってひびわれが発生しないようにするという方法です。プレストレストコンクリートはこうして開発されました。
